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Ave Maria in A (1865) アヴェマリア – Saint-Saëns サン=サーンス | 声楽レッスン | 柴田尚子

Ave Maria in A (1865) (アヴェマリア)

作曲:シャルル・カミーユ・サン=サーンス

 

フランスの作曲家・ピアニスト、サン=サーンスはAve Mariaを5曲作曲していますが、今回は作品番号のない1865年バージョンをお届けします。


アヴェ・マリアはシューベルトをはじめ、非常にたくさんの作曲家が曲を残していますが、私はとりわけサン=サーンス(Camille Saint-Saëns)が作曲したアヴェ・マリアが好きで、今回取り上げさせて頂きました。

このサン=サーンスのアヴェ・マリアは1889年に作曲されましたが、この時期は彼が作曲家として円熟期を迎えており、多くの名作を生み出しています。同時期の代表的な作品は、交響曲第3番「オルガン付き」 作品78(1886)です。サン=サーンスの交響曲の中でも特に有名で、オルガンが加わる壮大なスケールが特徴的です。このアヴェ・マリアも本来はオルガン伴奏によるものです。

冒頭は前奏はなくオルガンによる和声のみで静寂の中から静かに始まった旋律が、繰り返す度に天へ舞い上がるような弧を描き、美しい和声に彩られて展開します。中間部では短調になり、旋律も下降型でしっとりとした曲調が、後半の再現部への導入を引き立てます。そして、最後は冒頭のメロディーが登場しますが、冒頭とは違う特徴的な和声進行で締めくくられます。短いながらも構成力が高く、聴き応えのある一曲に仕上がっております。そして、ただ美しいだけではなく、どこかエキゾチックな香りもする和声を用いるところがサン=サーンスらしさを感じます。

歌唱時のポイントとしては、必ず和声進行を感じながら歌うことです。ロングトーンの中でも刻々と変化する和声の方向性を感じながらフレージングを豊かに表現しなければなりません。フランス音楽の美しさと、サン=サーンスの壮大なオーケストレーションを感じながら、できれば是非オルガンと一緒に歌っていただけたらと思います。

柴田尚子


Ave Maria
Gratia plena, dominus tecum
Benedictatu in muliæribus
Et benedictus
Fructus ventris tui, Jesu
Sancta Maria
Mater dei
Ora pronobis peccatoribus
Nunc et in hora, mortis nostræ
Amen. Amen

アヴェ・マリア
恵みに満ちた方、主はあなたと共におられます

あなたは女のうちで祝福され
あなたの胎の実、イエスも祝福されています
聖なるマリア
神の母よ
罪人である私たちのために祈ってください
今この時、そして私たちの死の時にも
アーメン。アーメン

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