Lasciar d’amarti(あなたへの愛を捨てることは)
作詩:不明
作曲:フランチェスコ・ガスパリーニ
この曲は18世紀イタリアにおいて広く歌われた恋愛歌曲のひとつで、いわゆる「イタリア古典歌曲集」に収められています。恋人への愛を苦しみから逃れるためにやめることなどできない、たとえ悲しみや束縛があろうともあなたを愛し続けたい、という情熱的な想いが歌われています。シンプルな旋律の中に、イタリアらしい甘美さと力強い愛の表現が込められており、今日でも多くの声楽家に親しまれています。
歌うときは、とくに「Lasciar」の「sci」を柔らかい「シ」とすることを意識しながら、息を一本のリボンのように流して音をなめらかにつなぎ、発音をはっきりさせつつ響きを保ち、メロディーではレガートを意識してメトロノームのようにカクカクならないようにし、苦しくても愛をやめられないという素直な想いを語りかけるように表現しましょう。
声楽講師 近野桂介
Lasciar d’amarti per non penar,
caro mio bene, non si può far.
A forza di pene,
di strali e catene,
non voglio lasciarti;
ti voglio adorar.
苦しみを避けるために、愛を捨てるなんてできない、
愛しい人よ。いいえ、できやしないのです。
たとえ苦しみや矢や鎖に縛られても、
私はあなたを離さず、
むしろ永遠に愛し続けたいのです。
(対訳 近野桂介)






